コウモリは鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)の保護対象動物です。本記事では法律の概要、合法的な対応方法、業者の正規対応、違反時の罰則について整理します。

違法行為の罰則

コウモリの無許可捕獲・殺処分は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象です。「知らなかった」では済まされないため、法律を理解した上での適切な対応が必須です。

鳥獣保護管理法の概要

法律の目的

鳥獣保護管理法は、野生鳥獣の保護と生態系の維持を目的として制定された法律です。狩猟以外の捕獲・殺処分には市町村または都道府県の許可が必要で、無許可での行為は違法とされています。

対象動物

鳥類および哺乳類(家畜・ペット動物を除く)が広く対象となります。コウモリは哺乳類として全種が保護対象です。

コウモリに対する規制

禁止される行為

  1. 捕獲:手づかみ・網・罠などでの捕獲
  2. 殺処分:故意に殺す行為
  3. 殺虫剤の直接噴射:死傷に至れば違法
  4. 粘着シートでの捕獲:死傷リスクがあり違法
  5. 毒餌の設置:違法
  6. 巣の破壊:特に幼獣がいる時期は厳禁
  7. 幼獣の致死行為:6-8月の追い出しで起こり得る

合法的な対応

  • 追い出し:忌避剤・煙・光・超音波などでの追い出し
  • 侵入口封鎖:建材を使った物理的な封鎖工事
  • 糞の清掃:被害対応として合法

業者の正規対応

正規業者の標準作業

  1. 現地調査:侵入口・営巣場所の特定
  2. 追い出し作業:忌避剤・煙等での追い出し
  3. 不在確認:すべてのコウモリが屋外に出たことを確認
  4. 侵入口封鎖:5mm隙間も含めて完全封鎖
  5. 糞清掃・消毒:N95マスク等での安全な清掃
  6. アフターチェック:再発有無の確認

業者が行わない行為

  • コウモリの捕獲(特別な許可がある場合を除く)
  • 殺処分
  • 6-8月の施工(幼獣餓死リスクのため)
  • 殺虫剤の直接噴射

捕獲許可の取得(特殊ケース)

集団繁殖地や特殊な被害事案では、市町村の担当部署(環境課・農林課)に捕獲許可申請を行うことで、許可を得た上での捕獲が可能になる場合があります。

申請の流れ

  1. 市町村の鳥獣行政担当部署への相談
  2. 被害状況の証拠提示
  3. 捕獲計画書の作成・提出
  4. 許可証の発行
  5. 許可範囲内での捕獲実施
  6. 実施報告の提出

※一般的な住宅被害では、追い出し・封鎖で対応可能なため、捕獲許可申請までに至ることは稀です。

外来種・特定の保護種について

沖縄県のクビワオオコウモリ

沖縄県には特別な保護種である「クビワオオコウモリ」が生息しています。アブラコウモリとは異なる大型のコウモリで、より厳重な保護対象です。沖縄県でコウモリ被害が発生した場合は、種類の特定と県の鳥獣行政部署への相談が重要です。

その他の希少種

日本には30種以上のコウモリが生息しており、地域によっては絶滅危惧種・準絶滅危惧種が含まれます。一般家屋に侵入するのはほぼアブラコウモリですが、洞窟や森林地帯では希少種への配慮が必要です。

個人での違法行為のリスク

個人がコウモリを捕獲・殺処分した場合の具体的なリスクを整理します。

刑事罰

  • 1年以下の懲役
  • 100万円以下の罰金
  • 前科記録(職業選択への影響)

社会的制裁

  • SNSでの炎上・拡散
  • 近隣住民との関係悪化
  • 勤務先・家族への影響

合法的な対応の手順

  1. 状況確認:侵入口・営巣場所・コウモリ数を把握
  2. 季節確認:6-8月は施工禁止(出産・育児期)
  3. 追い出し方法選定:忌避剤・煙・光・超音波から選択
  4. 夕方〜夜間に追い出し実施:コウモリ外出時を狙う
  5. 不在確認:屋根裏のコウモリが全て外出していることを確認
  6. 侵入口の完全封鎖:5mm隙間まで含めて建材で封鎖
  7. 糞清掃・消毒:N95マスク等での安全な清掃
  8. 再発確認:数日間の観察で再侵入がないことを確認

業者選びでの法令遵守確認

コウモリ駆除業者を選ぶ際、以下の点を確認することで法令遵守が確実な業者を選べます。

  • 「殺処分はしません」と明確に説明する
  • 「捕獲はしません(または許可を取得します)」と説明する
  • 6-8月の施工は行わないことを公式に説明している
  • 追い出し・封鎖の標準工程を明示している
  • 鳥獣保護管理法への対応を公式サイトで言及している

近隣・自治体との連携

集団被害や近隣を巻き込む被害の場合、市町村の環境課・農林課に相談することで、地域全体での対応や指導が得られる場合があります。

外来生物法との関係

アブラコウモリは在来種のため、外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)の対象ではありません。鳥獣保護管理法のみが適用される法律です。

まとめ:法律を理解した合法対応が必須

コウモリは鳥獣保護管理法の保護対象で、合法的な対応は「追い出し」と「侵入口封鎖」のみです。捕獲・殺処分は違法行為で、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となります。6-8月の施工禁止期間も含めて、法律を遵守した正規業者の対応を選ぶことが、住宅被害解決と法令遵守の両立につながります。

よくある質問

Q. コウモリは鳥獣保護管理法で保護されていますか?

A. はい。コウモリ(アブラコウモリを含む)は鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)の保護対象動物です。無許可の捕獲・殺処分は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となります。

Q. 合法的な対応方法は何ですか?

A. 「追い出し」と「侵入口封鎖」のみが合法的な対応です。市販忌避剤・煙・光・超音波による追い出しは合法で、追い出し後に侵入口を物理的に封鎖することで再侵入を防ぎます。捕獲・殺処分・殺虫剤の直接噴射は違法行為です。

Q. 業者でも捕獲は違法ですか?

A. 市町村の捕獲許可を取得した事業者のみが、許可された範囲で捕獲を行えます。一般の駆除業者でも許可なしでの捕獲は違法行為です。正規業者は捕獲ではなく「追い出し」と「封鎖」を行います。

Q. 6-8月の施工禁止の根拠は?

A. 6-8月はアブラコウモリの出産・育児期にあたり、母コウモリを追い出すと巣に残った幼獣(飛べない)が餓死してしまいます。これは鳥獣保護管理法の保護精神に反する行為のため、正規業者は6-8月の施工を行いません。

Q. 違反した場合の罰則は?

A. 鳥獣保護管理法違反は1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象です。捕獲・殺処分・殺傷に至る行為は全て対象となります。「知らなかった」では済まされないため、法律を理解した上での対応が必須です。